高校時代はエースどころか「ベンチ外」、プロ入りも育成ドラフト10位……それでも選手層が厚くレギュラー獲得最激戦といわれるソフトバンクで、見事ローテーション枠を掴んだ男――前田純、24歳とは何者なのか?【全2回の2回目/1回目から読む】

「小学生で野球を始めた時からプロを目指していました。実力はないけどプロに行こうと思ってやってきました」

 それでも現実は、ベンチ入りすら叶わなかった。夢を口にすれば周りからはバカにされた。高校時代のコーチには「不撓不屈」という言葉を授けられ、それに何度も勇気づけられたという。

 中部商(沖縄)を経て、転機は大学時代に訪れる。

大学時代に“大化け”した理由

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 日本文理大学に進学。前田純に才能開花のきっかけを与えたのは、かつてDeNAやソフトバンクで10年間プレーした実績があり、同大学でコーチを務めている吉川輝昭だった。

「それだけ身長があるんだから、角度を生かした方がいいんじゃないか?」

 それ以前の前田純はボールを離すリリースポイントをできるだけ捕手寄りの前にすることだけを考えていた。

「前」ではなく「上」なんだ。

 極端に言えば左腕を真上にまっすぐ伸ばした一番高いところから、指先でボールをたたく。その投げ方によって生まれたのが“打者を騙す”ストレートだった。

 以来、ブルペンだけでなくキャッチボールからそれを体に覚え込ませ、その投げ方に耐えうる体づくりを吉川と二人三脚で行った。前田純は吉川のことを今でも「師匠」と慕う。そんな努力が実を結び、大学3年生の春にリーグ公式戦のベンチ入りを果たすと以降はチームを支える存在となった。4年生になると全日本大学選手権のマウンドにも立って好結果を残した。スカウトの目に留まり、2022年ドラフト会議で育成10位指名ではあったがソフトバンク入りを果たした。

ホップする直球…こうして練習した

 ストレートの最速は145キロ。しかし、打者は振り遅れる。球が浮き上がって見えるためだ。その生命線でもあるストレートは、投球フォームがわずかでも狂うと投げることができない。しっかり真上から叩けているか、その体の使い方をチェックするために前田純が取り組むユニークな練習がある。

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