
大事なことは選手に面と向かって思いを伝える。それが新井の流儀である。いま二軍で汗を流す二俣翔一もまた、新井からの言葉を胸に秘め、試行錯誤を続けていた。懸命に、ひたむきに。(原題:[鼓動 新井貴浩と広島カープの2025年]第4回 でも、楽しいんよ)
新井貴浩のガラケーは、今やすっかり有名で ある。世代がいくつか上の読売ジャイアンツ前監督でさえ、本当なのかい、お前さん、と驚いたというから現代社会においては文字通り、ガラパゴスの島に留まり続ける稀有な民と言えるだろう。
同時に複数人とのコミュニケーションが可能で、国境を越えた不特定多数の人々に動画やメッセージを発することだってできるスマートなやつをなぜ手にしないのか。本人の説明は明快である。「必要ないから」。
進化を拒んでいるわけではない。その証拠に、このシーズンが始まる前も新井は帽子をかぶり、マスクをつけて、広島市内の携帯電話ショップに足を運んだ。毎年オフシーズンを利用して最新のガラケーに更新するのだ。
ところが、店には在庫がなかった。そもそも、絶滅危惧種のため製造数も少ないのだという。
どうされますか? みんなが使っている、もっと便利なものがありますが、と勧めるショップ店員に新井は言った。
「取り寄せでお願いします」
店員から怪訝そうな顔で見られたのは言うまでもない。
Hideki Sugiyama
小園が森下に叫んだ「すいません――」
ペナントレースが3分の1を消化した梅雨入り直前、カープは試されていた。“やはり、阪神の戦力は他球団より頭ひとつ抜けている”
バックネット裏からはそんな声が聞こえ始めていた。マラソンで言えば、レース中盤に差し掛かり、先頭と後続の距離が徐々に広がり始める頃である。交流戦前最後のホームゲームで首位の阪神タイガースに3連敗を喫し、交流戦最初のカードでも負け越した。沈鬱な1週間で貯金はゼロになった。このまま離されるのか。それとも食らいつくか。6月6日金曜日の西武ライオンズとのナイトゲームは、そんな意味合いを持っていた。
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