25年前の夏、1人の高校球児が千葉県大会予選を戦っていた。甲子園を目指して……。いや、正確には目指していたのかどうか、本人でもわからなかったのである。

「周りのチームや選手たちを見ていると『ああ、自分の高校では甲子園には行けない』と、わかってしまったというか……。だから、投げていても全然、甲子園を想像できなかったんです」

 前沢賢。とある高校にピッチャーとして推薦入学した。エースとなり、ベスト16まで進んだ。だが、この投手の悲しさは周りが見えすぎて、壮大な夢を描けなかったことである。

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 卒業後、とある大学にやはり野球推薦で入った。同期にはいわゆる「甲子園組」が大多数だったが、実力では自分の方が上だと感じることもあった。なぜ、彼らは甲子園に行けたのか?

「彼らに聞いたら『だって甲子園に行くつもりで高校に入ったから』と……。僕とはそこが決定的に違いました。つまり自分が想像できないことは達成されない。そういうことです」

北海道旅行の目標になる、壮大なスタジアム構想を!

 その青年は今、北海道日本ハムファイターズ事業統轄本部長として、新球場構想のプロジェクトを担っている。今年6月29日、新スタジアムのイメージ図を発表した席で「オンリー・ワンか、ナンバー・ワンか。北海道の皆様の誇りになるような球場にしたい」と語ったのが前沢だった。

「北海道を象徴するような文化であり、街づくりの中心となるようなものができれば、自然とオンリー・ワンになるし、世界ナンバー・ワンになると思っています」

 例えば、北海道へ旅行に行く人に「何のために?」と尋ねると、こう答える。

「そりゃあ、美味しい海産物と◯◯スタジアムだよ」

 これが前沢の言う文化としての球場であり、街づくりの中心と成り得るボールパーク構想である。そして、そのためには既成概念を覆すような発想が必要だという。

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