球団史上初の3年連続最下位……苦しんだ立浪ドラゴンズ。その再建を託された、井上一樹・新監督(53歳)とは何者なのか。現役時代20年間を中日一筋で過ごした男。NumberWeb編集部が現地名古屋で取材したダイジェスト版をお届けする。

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 中日・井上一樹監督は(一部の)選手をファーストネームで呼ぶ。“ユウキ”と呼ばれる、岡林勇希に聞くと「なんか急に……今年からです(笑)」と明かした。

 井上監督とは何者なのか。その人物像は一見、掴みにくい。立浪和義の後任として就任した井上監督。立浪は「甘いマスクでよく打つ」カリスマ性を持ち、ファンが切望する監督だった。

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 対して井上は、自伝『嗚呼、野球人生紙一重』(ぴあ、2019年)で立浪について「負けっぱなしの私にとっては、神のような人間です」と公言するほどだった。

 では、2人の監督の違いは何か。岡林勇希はきっぱりと答える。「(選手としての)実績です」。

 一瞬ヒヤリとする言葉だが、岡林は続ける。「立浪さんはオーラがありました。実績も凄まじいじゃないですか。実際に喋ってみると優しい方なんですけど。僕のことをすごく買ってくれましたし、一軍の経験を積ませていただいた。最初のほうはしょっちゅう怒られましたけどね」。

 そして井上監督の特徴について「選手それぞれの持ち味があって、なかには立浪さんの理論を完ぺきに理解できない選手もいる。そこをわかるのが井上さんだと思います。選手のモチベーションを高めるの、うまいなと思うんで」と話した。

 選手たちの証言からは、新しい監督の下で変化したチームの空気が見えてくる。プロ3年目の田中幹也は「選手間だけじゃなく首脳陣との会話も増えた気はします」と話す。井上監督は田中のことを”ミッキー”と呼ぶという。

 井上監督の特徴的な姿勢は、選手が思い切ってプレーできる環境づくりにある。試合前の練習中、山本泰寛の肩を掴みながら笑い合う場面や、バントのポーズで茶化す光景が見られた。チームには「前向きに、ポジティブに」の言葉が浸透している。

 星野仙一、落合博満、立浪和義――カリスマ監督たちの系譜を継ぎながらも、「あくまで脇役」として選手を前面に押し出す井上監督。その独自の監督像が、中日をどこへ導くのか。

<続く>

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#2に続く

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