プロ野球・ロッテの本拠地ZOZOマリンスタジアム(千葉市)。

老朽化が進んでいることから、所有する千葉市は、近隣にある「幕張メッセ」の駐車場の敷地に移転し、現在と同じ屋根のない人工芝の球場に建て替え、2034年の開業を目指す方針を明らかにしました。

しかし、移転に向けては“激しい混雑対策”という課題があります。

(千葉放送局記者・岡村純子)

“潮風”で老朽化が…

「ZOZOマリンスタジアム」は、千葉市美浜区・幕張新都心に1990年に完成しました。

しかし、海沿いに立地し、強い潮風にさらされてきたこともあり、柵や手すりのさびのほか…。

雨漏りが起きるなど老朽化、そして、通路の狭さなどが課題になっていました。


屋外型・人工芝の球場に

球場を所有する千葉市は、コストの試算などを元に改修や移転などの検討を進めてきましたが、5月22日、将来のあり方に関する基本的な方針を公表しました。


発表する千葉市の神谷市長

この中では、球場を北に1キロ近く離れた「幕張メッセ」駐車場の敷地の一部に移転して建て替え、「365日楽しめるスタジアム」を目指すとしています。


「幕張メッセ」駐車場(手前)と現在の球場(奥)

「海や風が感じられる歴史を継承する」などとして「ドーム型」は見送られ、現在と同じ屋根のない「屋外型」とする方針です。グラウンドも、コンサートなどの利用を想定して現在と同じ「人工芝」にするとしています。

また、12球団の本拠地で最も少ない収容人数は、現在より1割多い3万3000人程度まで増やし、神宮球場、ベルーナドーム、楽天モバイルパークよりも多くなる見通しだということです。

このほか、市民の利用も想定した室内練習場を併設するほか、災害時には、帰宅困難者などを一時的に
受け入れ、物資を集積する場所としての機能も持たせるということです。

さらに、民間からの投資があれば、エスコンフィールド北海道のように球場が感じられる滞在施設を設けることや、球場と一体化した商業施設なども想定されるとしています。

新たな球場は9年後の2034年の開業を目指すということで、市は今後、敷地を所有する県などと具体的な調整を進めることにしています。


神谷市長

海、風、空を感じられる環境の中で、これまでの球場の歴史や体験を継承しながら、新しい感動が生まれるような場所にしていきたい。

コストは想定の「2倍」

こうした方針を元に試算した整備コストは、球場の建設費600億円ほどを含め、総額にして約650億円。2023年の試算では300億円前後とされていたことから、この想定の約2倍に膨らみました。

球場の機能を充実させたことや、資材価格の高騰などが理由だということです。

市は、市の予算だけでなく、球団のロッテなど民間からの資金や、国の補助金などを活用して賄うとしています。


千葉市の資料より

幕張メッセの駐車場とは

移転先となる幕張メッセの駐車場の敷地は、千葉県が所有し、現在の球場から交差点を隔てた“はす向かい”に位置します。


幕張メッセ(左奥)と現球場(右奥)

駐車場の広さは約17万平方メートル、テニスコートにして650面分あります。1999年には、人気ロックバンド「GLAY」が約20万人を動員した大規模な野外ライブを開催した場所としても知られています。

現在は平面の駐車場に普通車5000台、大型車120台が収容でき、イベントの参加者のほか、機材を運搬する車両などが利用しています。

新たな球場は、敷地全体の2/3にあたる約11万平方メートルでの建設を想定していて、市は今後も同じ規模の駐車スペースを確保するとしています。

課題は“激しい混雑”

一方で、地域では混雑が激しくなることに懸念が出ています。幕張新都心では大型施設の集積が進み、すでに休日を中心に激しい混雑が課題になっています。

移転先の敷地の隣には、流通大手「イオン」の旗艦店と位置づけられている大型ショッピングモールがあるほか、アメリカの会員制量販店「コストコ」の店舗も並び、周辺の道路では頻繁に渋滞が発生しています。


幕張新都心の「イオンモール」(左)と「コストコ」(右)

また、幕張メッセやZOZOマリンスタジアムでイベントが開催されると、最寄りの海浜幕張駅には大勢の人たちが詰めかけ、駅構内の入場制限が行われることもあります。


イベント後の海浜幕張駅

さらに、近くにある公園には、バスケットボール・Bリーグ「アルティーリ千葉」の本拠地となるアリーナが新たに建設されることになっています。「アルティーリ千葉」は来シーズンからB1への昇格が決まっています。


アリーナの建設予定地

このほか、周辺ではタワーマンションも次々と建設され、地域には来訪者だけでなく人口も急増していることから、新球場の建設で混雑がいっそう激しくなるのではないかと懸念されています。

こうした課題への対応について、神谷市長に尋ねました。


神谷市長

車の流れや人の動線などをシミュレーションし、歩行者用のデッキを整備するなど歩車分離を進めることで、交通に混乱が起きないよう対策を取っていきたい。

ロッテ社長「魅力的なスタジアムを」

千葉市の方針について、プロ野球・ロッテの高坂俊介球団社長は、次のようにコメントしています。

現時点ではまだ具体的なお話はできませんが、千葉ロッテマリーンズは千葉市と連携し、魅力的なスタジアムづくりをとおして地域の未来に貢献できますよう、協議・検討を重ねて参ります。

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