2025年5月19日11時0分


















バントの練習をする中川勇斗(2025年5月7日撮影)


バントの練習をする中川勇斗(2025年5月7日撮影)


<ニッカンスポーツ・コム/プロ野球番記者コラム>


阪神中川勇斗捕手(21)に心境を聞いてみたかった。4月29日に1軍昇格して以来、チームは5月18日まで16試合を戦った。その間、中川は捕手でありながら1度もシートノックで「捕手」をやっていない。

現在、1軍には4人の捕手がいる。梅野、坂本は併用レギュラー。栄枝がいわゆる3番手捕手。打撃が買われている中川は実質の「外野手」扱い。ノックもすべて左翼で受けている。1軍昇格後、グラウンド上で捕手ミットをはめたのは、脇で捕手練習をした、ある日の一瞬だけ。捕手での出場は、アクシデントなどの緊急時以外には、あり得ないことが分かる。

「捕手」であることは絶対的な強みだった。京都国際では強肩の司令塔として活躍。プロ入り後も打撃と並んで、スローイングを高く評価され、未来の正捕手候補と目された。だが、現在は自慢のスローイングに課題を抱えている。キャンプ後、捕手としてほとんど稼働していないのも、この理由が大きいようだ。この約2カ月の間に捕手で出場したのはたった1試合。4月11日のウエスタン・リーグ、くふうハヤテ戦の途中出場だけだ。

そんな状況を、どう思うのか。「今は自分のやることをしっかりやることしか考えていません」と落ち着いた様子で話した。捕手へのこだわりを聞くと、意外な答えが返ってきた。

「全然ありません。プライドも、何もありませんよ。全然です。(捕手をやらない)こんな状況はなかなか今までなかったけど、別に何も感じていません。新しいことをやっているので、そこに挑戦している。そういう感覚です」

屈託のない笑顔、さばさばとした口ぶりに拍子抜けした。その裏に、悔しさや強がりがあるのか。真意は分からなかった。1つ確かだったのは、今必要なのは打撃で結果を出し、外野守備のスキルアップに集中すること。その邪魔になる感情はすべて排除するという割り切りだった。

「投げ方が、捕手と外野では全然違う。また違う感覚なんですよね」。外野を経験することで、捕手に生きる面があるかは分からないという。ただ、興味深い事実がある。前述した1カ月前のくふうハヤテ戦は、5回からの急な出番だった。久しぶりのマスクにもかかわらず、好送球で俊足選手の二盗を防いでいる。いい兆しだろうか。そこに関しても「分からないです」と笑うだけだった。

1つ1つの言葉からは、バット1本で1軍に生き残るという強い覚悟が伝わる。しなやかとも言い換えられるメンタリティーこそが、21歳のストロングポイントなのかもしれない。【遊軍=柏原誠】




9日、外野でノックを受ける中川勇斗


9日、外野でノックを受ける中川勇斗






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