
球界の“TT兄弟”T-岡田氏(左)と阪神・佐藤輝が熱血対談に臨んだ(撮影・大森 寛明)
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浪速の“TT兄弟”が誕生!?阪神・佐藤輝明内野手(25)と、今年から本紙評論家に加わったT―岡田氏(37)の初対談が実現した。同じ「左打ちのスラッガー」でオリックス時代の2010年に本塁打王を獲得した元キングに今季の活躍を約束。今季の打順は新境地の3番で5年目に挑む猛虎の大砲が「全試合フルイニング出場」と「打率3割、30本塁打、100打点」の2大目標を掲げた。(取材・構成 八木 勇磨)
(上)からの続き
T 今春は左方向への打撃に重点を置いていたり、イメージをしていたりしている?
輝 イメージはしていないですが、外角に球が来たら、しっかり左中間方向へいい打球だけを打てるように意識してやっています。今は打撃投手が投げる球も(死球を避けるために)基本的に外角中心なので、そっち(左方向)の打球が多くなっていますが、左中間方向にホームランが出ればいいことだと思ってやっています。
T 甲子園は浜風(右翼から左翼方向への強い風)が吹くから、打球の回転が結構大事だと思う。練習から打球の回転をイメージしてもいいかなと。阪神は本当に過酷な環境だと思うけど、しっかり自分を持ちながら、時には周りの声を聞くことも大事。その中でも“ここだけは貫き通す”というのも大切だと思います。
輝 ありがとうございます。
T 打撃で一番伸ばしたいところを教えてほしい。
輝 やはり(調子に)波があるので。しっかり考えて、しっかり見て、自分のバッティングを理解したいです。悪くなっている時は「ここがこうなっている」と、より理解できれば、その波が小さくなると思います。毎年ですけど、そこが一番やっているポイントですね。(状態が)ハマれば、月間MVPを獲れる時もありますし、いかに自分でバッティングを理解して、その動きができるかですね。
T 絶対に波はある。(状態が)下がってきた時に、できるだけすぐに戻せるようにしたいよね。
輝 (打撃が)わからないまま行ってしまうと、もっと沈んでしまうので。難しいですけど…。
T バッティングってそんなもので、正解がない。正解がないから、その年その年、その日その日のベストをしっかり出すことが大事かな。(第1クールで臨時コーチを務めた)糸井SAと取り組んでいたクリケットのバットを使用した打撃練習(※2)は、オフからやっていたの?
輝 やっていました。1月の自主トレで糸井さんに来ていただいた時、“やってるやん!”と言われました(笑い)。(今回の臨時コーチでクリケットのバットを使うことは)糸井さんからは何も聞いていませんでした。
T 感覚は、いいものがあった?
輝 クリケットのバットは面があるので、面でしっかり打つという意識をつくるには、いい練習になっています。
T 私も現役だった3年くらい前に、(オリックスの)若月に借りて一度ティー打撃をしてみたけど、確かに面の出方はイメージしやすかった。これが野球のバットになった時に、どういうイメージかな…と。(面のあるクリケットのバットと違って)野球のバットの丸い部分と丸いボールがぶつかるから大事なことは、バットがボールに入っていく角度と、抜けていく角度だと思う。それによって打球が上がるか、上がらないかが変わってくる。できるだけレベルに近いダウンスイングの方が打球って上がるよね?
輝 難しいのは、イメージと実際の動きが全然違うことです。僕の中でも、それは結構苦労というか“自分ではこんなに意識しているのに、映像で見たら全然変わってない”とか…。
T それはあるかもね。
輝 それこそ、その日その日で全然違うこともあるので「自分を理解する」ということをもう少しできたら、上に行けるかなと思います。
T 甲子園で左打者が本塁打を打つって難しいよね。
輝 そうですね。最初の年(21年)に本塁打を24本打ったので“いけるんちゃうかな”と思っていたんですけど…。年々難しさは感じています。
T そうだね。1年目は交流戦くらいまでめちゃくちゃ打ったもんね。“どんだけ打つんやろ”って思ったけど…。
輝 オールスター明けに突然全然打てなくなって…。(不規則な)オリンピックブレークもあって…。
T どうしても周りのハードルは上がる。周りの目や評価は置いといて、どれだけしっかり自分を持って、自分と闘えるかが大切。この先ずっと、自分で闘うことばかりだから、我慢強く頑張ってほしいね。
輝 ありがとうございます。
T 3番となることで、フォアボールへの意識はどうかな?
輝 もちろん、フォアボールは取っていきたいですね。出塁率も上げたいですし、しっかり打ちに行った中で(四球を)取りたいかなと思います。
T でも不思議なことに、調子が良かったら(ボールがよく見えて)フォアボールを取れるけど、悪かったらバッテリーに勝負されてしまう。そこでも客観的に、自分をどう見るのかも大事かな。私も4番を打ったけど、つなぐイメージしかなかった。結局チームってそういうもので、みんながどれだけつなぐ意識を持てるか。後ろにつなぐ気持ちで、チームのためにやってくれたらいいのかな。
輝 ありがとうございます。しっかり頑張ります!
※2 キャンプ2日目の2日に臨時コーチを務める糸井SAが持ち込んだ。クリケットの板状のバットを使用することで、ボールを面で捉える感覚を養う。大谷(ドジャース)も24年シーズンに練習で用いていた。
【取材後記】
今季の目標に「全試合フルイニング出場」を掲げた際、佐藤輝は「守備も頑張ってやらないと。岡田前監督には“それ”で2軍に落とされたので」と言った。昨年5月14日の中日戦(豊橋)で落球し、翌15日に降格。約3週間のファーム調整も、夏場の復活により美談として語られるが、厳罰の傷は簡単には癒えない。
同じく岡田監督と戦った経験を持つT―岡田氏からは、胸の内を理解された一方、こうも諭された。「年齢を重ねたらわかってくる」。T―岡田氏も報道陣を通じて自身への苦言を知り“放っておいてほしい…”と悩む日もあったという。25歳の若虎が老将と過ごした2年間。今後の野球人生に不可欠だったと思える日が、必ず来る。 (八木 勇磨)
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