2025年2月10日12時48分
具志川キャンプでサンズ臨時コーチに指導を受ける阪神佐野(2025年2月6日撮影)
<ニッカンスポーツ・コム/プロ野球番記者コラム>
阪神の沖縄・具志川キャンプで見た、ある光景に興味が湧いた。臨時コーチとして来日している元阪神ジェリー・サンズ氏(37)が若手中心の具志川でも指導。ドラフト5位の新人、佐野大陽内野手(22=日本海L・富山)に身ぶり手ぶりで何かを伝えていた。
しばらくして、筒井和也スカウト(43)が会話の輪に加わった。同スカウトはサンズ氏の打撃理論に耳を傾け、質問もした。佐野の守備練習中にも、2人のコーチが指導する中身を聞いていた。担当スカウトとして情報を共有した。
阪神のルーキー育成方針は「最初は触らない」。欠点があっても、アマ時代に培ったスタイルのまま、まずはキャンプを送らせる。阪神のスカウトはキャンプに同行している。選手の特徴や課題、ケガの情報は事前に会議などで指導者に伝えているが、グラウンド上でもすり合わせを続ける。選手が間違った方向に進んでしまうことを防ぐ効果がある。何年も前に定着したスタイルだ。
サンズ氏が間違ったことをしたわけではない。全くの押しつけではなく「絶対に君はもっとよくなる。そのためにはこういうやり方もあるよ」と選択肢を紹介する内容だった。筒井スカウトは、このやりとりを知ることが重要だったと説明した。
「完全に現場に任せているので、僕から指導することはありません。基本は見守ります。でもこうして僕が指導された中身を知っておくと、シーズンに入ってから選手を観察していく中で、全然違ってくると思う。本人も球団も後悔しないようにしたいので」
サンズ氏のように、コーチはみんなが選手のためを思って、理論や技術を伝えようとする。だが齟齬(そご)は必ず生じる。プロセスを知っている人間が間に入れば、スムーズにフォローできる。コーチが言えば「強制」になりかねないが担当スカウトのフィルターを通せば、より正確に伝わることもある。スカウトにはそんな役回りもある。
彼らはまもなくキャンプ地を離れ、おのおのが担当するチームの視察へと散っていく。畑山俊二統括スカウト(60)は「今年の本格的な活動に入ります。ここまでが去年獲得した選手の引き継ぎ期間みたいなものですね。もちろん、担当選手のフォローは続いていきます」と話した。次のドラフトはもう8カ月後だ。【遊軍=柏原誠】
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