’70~’80年代(カープ一筋) 103勝,’76年20勝(最多勝),’75年初優勝戦士 ”ぎっこんばったん投法”
速度を変えて4回繰り返し
フォームの特徴:
概要;
・全体として、腕にも、体にも、無理な力を加えずに投げているが、力の入った、低い腰に
引っ張られることで、ダイナミックに大きく体を使って、腕を振り回している。
・腕の振りは、緻密ではなく、制球、球質にもバラツキが大きいタイプながら、下半身の動きと
腕の振りが一致した時には、スピード感のあるストレートが投げ込まれている様に見えるj。
腕に力を入れない始動;
・全般で腕に力を入れず、始動でも、前足を高く上げて、真っ直ぐ伸ばした両腕で、膝を軽く
包み込んで、僅かに静止しているが、両腕を下げる力で、上昇する前足と、上下からサンド
する力は殆ど見られない。
・ワインドアップで、両腕を頭上へ上げる際でも、腕はぼぼ脱力状態にあることから、序盤は、
腕の力をなるべく抜いておいて、腕を動かし易くすることで、最後のリリース付近で、腕を
速く、大きく回すことを意図していると思われる。
前足の上昇~下降;
・背筋を真っ直ぐに立てて、力を入れないままでしっかり曲げた前足の膝を、ある程度高く
上げることで、その太腿と腹とが密着している。
・真横へ伸ばした両腕の間に、前足の膝を入れて、一瞬静止した後、両腕とも脱力したまま、
グローブ側の腕だけ真横へ伸ばす形を崩さずに、もう一方の投げる側の腕は、下降する前足と
共に、真下へ下げている。
・前足の足首を伸ばす形で、爪先を真っ直ぐ伸ばしてから、前足を突っ張らせ気味で下げていく
のに合わせて、グローブ腕を僅かに上げながら、前方へ向きを変えて、真っ直ぐに突き出して
いる。
腰の下がり、後ろ足の膝の曲がり;
・前足の膝は、始動時から最大の高さでは無いものの、ある程度の高さに上げてから、殆ど足に
力を入れないまま、ゆっくりと膝を伸ばしつつ、下降が始まり、地面と45度の角度になるまで、
真横である3塁方向まで膝を伸ばし切っている。
・力の入っていないグローブ腕を肩の高さに固定したまま、投げる腕は、早くから真下へ伸ばす形
に固定しておき、前足の膝を伸ばし切りながら下降させ、同時に、後ろ足の膝を曲げる
ことで、腰を下げている。
・始動時は、全身が脱力状態にあり、高い位置のグローブ腕も、上下させる前足にも、大きな力は
入らなかったが、前足が下降して、その膝が真っ直ぐ伸び切り、早い段階から後ろ足の膝が
曲がり、腰の位置が下がることで、腰周りに力が入る体勢が作られている。
上体の屈み、腕の形状;
・前足の膝を伸ばしながらの下降、投げる腕の下降、グローブ腕の前方への上昇が、同時に
ゆっくり進行すると、次第に後ろ足の膝が明確に曲がり、上体が屈み、両膝の向きを合わせて、
腰が入る体勢に入っている。
・投げる腕を軽く捩り、手首を返して、背中側に付けてから腕を回し始めることで、腕の稼働域を
広げているが、もう一方のグローブ腕の手首を返して、グローブを上向きにすることで、
早くから、両腕を背中側へ回して、背筋に力が入る形を作っている。
踏み込み直前の体勢;
・両太腿を付けて、両膝の向きを合わせることで、力が逃げ難くしながら、グローブ腕を高く、
投げる腕を背中側へ捩ると、腰を沈めて、上体と両太腿との”V”字の角度がさらに狭まるまで、
腰を落とし、後ろ足の膝を十分に曲げて、力を溜める工程を設けている。
・腰がじわじわと下がるのに追随して、捩る形でグローブ腕をさらに頭上まで高く上げ続け、
この後も通常より高い位置に留めておくことで、下向きに押す力が加わり、上体を屈ませ、
腰をさらに下へ押さえ付けている
・後ろ足の膝が深く曲がるにつれて、少しずつ腰が前へ押し出され、明確に屈んだ上体が後方へ
傾くと、両膝を突き付けて、内股の形をなるべく維持したまま、後ろ足に溜めた力を吐き出す
ように、低い体勢から一気に前へ踏み込んでいる。
低空での踏み込み;
・脱力状態にある両腕とも手首を返し、真っ直ぐ伸ばす形で、上体の屈みと後ろ足の膝の曲がりが
最大となり、十分な力がその膝と腰に溜まったところで、一気に前へ踏み込むと、背中側へ
向けていた投げる腕の肘を上に向けて絞りながら引き上げることで、担ぎ上げを始めている。
・早い段階から、腰を落とし、後ろ足の膝を最大に曲げて、力を溜めてから一気に踏み込むのが
特徴となり、後ろ足で地面を強く押し込む力を使いながら、股関節が大きく広がり、低空で
腰が勢い良く前進している。
・グローブ腕を頭上へ上げ続けることで、腹と後ろ足の太腿とが密着するまで、上体が深く屈む
体勢になりながら、力を溜めた後ろ足の力で腰を前に押し出すと、前足の膝を曲げて回し、
投げる腕を体の内側から担ぎ上げ、後ろ足の膝が地面側を向くまでの捻りを加えている。
グローブ腕の下降、上体の起き上がり;
・投げる腕の肩、肘を引き上げ、後ろ足の捻りを強めて、前足の着地動作が近づく辺りでようやく
高い位置へ伸ばし続けていたグローブ腕を一気に下げることで、低い位置にある腰を、さらに
下向きに押さえ付ける力が働いている。
・グローブ腕が下がる反動で、体を下向きに押さえ付けたまま、投げる腕の肩、肘が体の近くで
コンパクトに担ぎ上がり、後ろ足の強い捻りで腰が前へ押し出されながら、前足が着地する
ことで、投げる側の肩と共に、屈んでいた上体が起き上がっている。
・脱力していたグローブ腕を、高い位置から多少遅れ気味で大きく下げることで、体を下向き
に固定したまま、上体を起き上がらせる働きを持たせ、また、反動により上体に縦回転を
作り出して、もう一方の投げる側の肩を高く上げる働きも担っている。
前足の着地~上体の倒し;
・両腕とも、序盤から手首を返して、背中側へ軽く捩る形で伸ばしておくことで、上半身に
最低限の力を入れているものの、腕、上半身に大きな力を入れるタイプでは無く、低い腰の
構えを作り、ダイナミックに踏み込んで引っ張らせる力に従い、上体を大きく動かしている。
・グローブ腕を高い位置に留めてから、一気に下げながら、その肩を回転方向へ引くことで、
横と縦の両方向の回転運動を誘発しているが、前足が着地した後、本格的な回転動作が始まる
頃には、曲線形状でこの腕の脇を開けたまま、力を緩めてしまっている様に見える。
・但し、低い腰の構えから、低空でスピードを緩めずに踏み込むことで、体には常に前へ掛かる力
が働いているため、グローブ腕の力を緩めても、前足の着地と共に、直ぐに回転動作が進行して、
この流れのまま、一度起き上がった上体が、一気に前へ倒れ掛かりながらリリースへ入っている。
腕の担ぎ上げ;
・序盤の腰を落として力を溜めた体勢を作った後は、股関節が大きく広がった、低い踏み込みに
より、一切スピードを緩めずに腰が前進する力に従って、腕を大きく振り回している。
・低い腰の位置のまま、腰が勢い良く前に進んだ後、前足が着地することで、その膝の曲がりが
小さいまま、前足が地面に突き刺さると、この流れを止めずに回転動作に移行しながら、上体が
前へ大きく倒れ込んでいる。
・上体と腕には特別大きな力を入れず、両肩の背中側への引きも特別強くはないが、着地動作の際
に、上体が起き上がることで、背筋に力が入り、また、スクラッチ型で肘を内側から回しながら、
コンパクトに腕を担ぎ上げることで、着地と同時に、肩を真後ろに留めることを可能としている。
腰に引っ張られる腕の振り;
・着地動作時の、上体が起き上がる力を使い、上体が僅かに後方へ仰け反り、一瞬だけ肩を真後ろ
に留めると、常に前へ腰が進み続ける力に従い、直ぐに上体が前へ倒れることで、リリース体勢
に移行している。
・腰が前へ進む力に依存することで、腕には大きな力を入れなくても、回転運動~上体の前への
倒しへと連動するため、肩を大きく回しながら、柔らかく腕を高く上げて、それなりに高い位置
から、オーバースローで腕を振り回して、リリースを行っている。
上体を倒したリリース動作;
・踏み込み時の腰を前へ押し出す力が、回転動作を経て、上体を前へ倒す動作に繋がるため、
腕には無理な力を入れなくても、自然に大きな腕の振りが可能となり、腕の向きはやや斜めでは
あるが、高い位置から、前方まで大きく腕を伸ばす、ダイナミックな腕の振りとなっている。
・高い位置からグローブ腕を下げる反動により、体には下向きの力が働くため、リリース付近で
かなり極端に上体を前へ倒す形を維持し易くなり、低い体勢でリリースした後、フォローの
最中でも、体を前へ倒す形を保ったままで、前足で勢い良く立ち上がっている。
カープ投手との比較;
・序盤に、投げる腕を真下へ下げて、上体に付ける際、手首を返す形で、背中方向へ回してから、
腕を大きく回す点は、小林幹英の腕の形状に類似している。
・腰を低く沈めた後、股関節を大きく広げながら、力強く踏み込むことで、腰が前に進む力を
与え続ける点は、大野に近いように見える。
・腰が前に進む力に引っ張られながら、早くから上体を前に倒して、腕を大きく振り回す点は、
黒田の腕の振り方に近く見える。
・腕の力に頼らずに、下半身に引っ張られることで、腕をとにかく大きく回す、と言う’70年代
の池谷のコンセプトは、何らかの形で、後のカープ投手陣に影響を及ぼしていると推察される。
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後ろ足の膝に強い力を溜めた後、その力を開放するように一気に踏み込む力に依存することで、
腕や上体には大きな力を入れなくても、力強い、大きな腕の振りを可能にしていると思われます。
一本調子で全力でストレートを投げ続けてから、頃合いを見て、抜いた球でかわそうとしても、
最後に球がすっぽ抜けて、痛打を浴びてしまうような不器用な投手ですが、
村田兆治と同様に、球に当てられても、これでもかとストレートで押し続けて、最後に、
本人にも完全には制御できていないことが幸いしてか、微妙に球が変わって、力でねじ伏せる、
と言うような力押しができる投手だったと推定されます。
全身を使って、1、2の3で全力投球するタイプなため、現役は12年、活躍期間は7年程度と
短いものでしたが、入団2、3年目はスピードボール主体で十分な結果を残していることから、
後にカープに入団する本格派投手達に、池谷の大きく腕を回すスタイルが、多少は継承されて
いった可能性もあるのではないかと思われます。

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